府中市 要支援者個別避難計画は機能しているのか・・自治会の役員高齢化により、都内の自治体で災害時の避難、「共助」が機能しない状況も(府中市議会議員 国民民主党 ゆうきりょう)

府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
★「名簿を受け取れば支援への責任が生じてしまう」「むしろ自分たちが助けてほしい」自治会役員の本音
今朝の読売新聞多摩版に、自治体が災害時の避難支援に役立ててもらうために作成した、高齢者や障碍者の氏名、住所を作成した名簿の受け取りを自治会、町会などが辞退するケースが増えているとの記事があります。「自治会役員らの高齢化などが背景にあり、地域における助け合いがピンチに陥っている」状況が掲載されています。
また記事では都内の北区のある町会で区の名簿提供を断る理由と背景について書かれています。同区の田端新町3丁目町会は、約1800世帯で役員は60~70歳が中心、会長さんは28年間務めているとして「むしろ自分たちが助けを必要としている。名簿を受け取れば支援への責任が生じてしまう」と本音を話しています。
★要支援者への個別避難計画・・災害時の「共助」が目的ではあるが
同記事では「災害対策基本法では、高齢や障害で自力避難が難しい要支援者を支援するため、自治体に要支援者の名簿作成を義務づけている」「名簿には氏名、住所、連絡先などが記載され、自治体は要支援者の同意を得たうえで、警察や消防のほか町会、自治会、自主防災組織などの地域の住民団体に名簿を提供できる」とあります。こうしたなか、記事にもありますが多くの自治体では要支援者名簿、独自に作成した高齢者らの名簿を自治会などに提供し、「災害時に地域での『共助』を促すことを目的」としています。
★役員高齢化と名簿に記載された個人情報を扱うことへの不安がある
しかしながら記事では「読売新聞が23区に取材したところ、住民団体に名簿を提供している19区のうち、15区で受け取りを希望しない団体がある」として、「役員の高齢化と名簿に記載された個人情報を扱うことへの懸念が主な理由」としています。記事では「港区では自治会221団体のうち受け取ったのは5団体のみ」とし、同区防災課の担当は「町会長らが高齢化して、名簿を受け取っても役割を担いきれないという意見も多い。事情もわかるので、無理強いできない」。また練馬区では310の住民団体「防災会」のうち、135団体が受け取らず、「防災会によっては会長の個人宅が名簿の保管場所となるため、個人情報を預かる不安から辞退するケースもある」とし、多摩地域でも狛江市、西東京市、立川市などにも名簿を受け取らない住民団体があるとしています。
★自治体が民間事業者と連携して要支援者らをピックアップする動きも
こうした事態を打開するために、「民間事業者と連携した避難支援を模索する自治体もある」として、「葛飾区ではタクシー事業者と協力、避難時に要支援者らをピックアップしてもらうことを検討」、「千代田区の担当者は『要支援者と支援者をマッチングするスマホアプリを開発中の事業者がいると聞いた。将来的にはそうしたアプリの活用も選択肢に入るだろう』」と話しているそうです。(参考、読売新聞多摩版10月14日付)
~この読売の記事にあることは、恐らく府中市内の自治会、町会においても同様の動きが広がっているのではないでしょうか。府中市も今年度予算のなかに、高齢者災害時要支援者事業費として、個別避難計画の作成を支援する予算を計上していますが、その実態について今後、調査と対策が必要だと思われます。(ゆうきりょう)
★府中市令和7年度予算のなかに高齢者向け施策が複数レベルアップ事業(予算の増額)があるので、そのなかの1つを紹介します。
①高齢者災害時要援護者支援事業費(個別避難計画の作成)・・災害対策基本法改正にもとづき、避難行動の支援を必要とする高齢者の個別避難計画を作成するもの。予算・・167万円
★現状は民生委員や町内会による紙媒体での名簿管理、自治体は2025年までに名簿提出の努力義務
以前の読売新聞にNECが2024年にも市町村向けに高齢者らの災害時避難計画について、デジタル化するシステムを提供するとの記事がありました。現状は町内会などが情報を集めて紙媒体で名簿を管理する仕組みですが、デジタル化を通じて安否情報を即座に共有することで、被災時の逃げ遅れ解消につなげるとしています。
この記事にもありますが、災害時の避難計画は要支援者の高齢者や障害者ごとに個別に作成しなければなりません。「21年の災害対策基本法が改正された際、市町村には25年までをめどに整えるよう努力義務が課せられている」とのことです。しかしながら記事では「23年1月時点で、『全部策定済み』と回答した市町村は約9%のみ」とあります。また同記事では「避難計画は要介護度など個人情報のほか、避難先や経路などを記録する」「新たなシステムではタブレット端末に情報を入力、クラウド上で保管、避難経路は入力データーをもとに自動作成するため、10分程度で作業が終わる」とのことです。
★市町村と町内会による情報管理の共有で避難対策もスムーズになる
このソフトによるデジタル化で、「民生委員や町内会の役員らが情報を聞き取って紙に記入して、市町村と共有する手間がなくなる」としています。「またデジタル化することで、市町村と町内会が要支援者などの情報共有をできる」のとあわせて、「被災状況を踏まえて避難の優先度をサイト上で示すことが可能となる」とし、「支援者に対しても災害時発生時にスマートフォンによる支援要請を自動通知する」としています。これにより、「人手が確保しやすくなれば、要支援者の逃げ遅れ解消につながる可能性もある」と記事にあります。
恐らく府中市においても要支援者のデジタル化はまだ未対応だと思われます。NECは府中市内にもある有力企業なだけに、恐らく今回のデジタル化システムの提供については、同社から市に対して情報が寄せられていると思われますが、私もこの課題についてぜひ質疑で要望したいと思います。(府中市議 国民民主党 ゆうきりょう)
※ 府中市議会議員 ゆうきりょう の朝の駅頭市政報告は、原則、毎朝下記の予定で行っています。駅頭では「市政通信」を配布しています。市政相談、生活相談なども受け付けています。なお雨天時や、自身の都合により中止の場合がありますが、お気軽にお声をおかけください。駅頭には朝8時までいます。
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