(府中市)府中市が中核市に移行するメリット、デメリットと課題とはなにか(府中市議会議員 ゆうきりょう)
府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
私が所属する会派「自由クラブ」では、法定人口20万人以上の自治体が対象であることを条件とする中核市への意向を、市に要望しています。この中核市になることには、都道府県から多くの権限が移譲されることによる行政の効率化というメリットがある一方、財政や人材確保の負担というデメリット(課題)があることも指摘されています。
1,中核市へ移行することのメリット
(1)行政手続きの迅速化・効率化
東京都を通さず市が直接処理できるようになり、手続きの期間短縮や二度手間の解消につながります。
(2)地域密着型のサービス提供
福祉施設の許認可権限などが移譲され、地域のニーズに柔軟な対応が可能です。
(3)保健所の独自設置
感染症対策などで、県の判断を待たずに迅速な調査や指導が行えるようになります。
(4)特色あるまちづくり
教職員研修の独自実施や、都市計画・景観規制を条例で柔軟に決められるようになります。
(5)都市のイメージ向上
全国的な知名度が高まり、企業や観光客の誘致、定住促進に好影響を与えます。
2,中核市になることのデメリット(課題)
(1)財政負担の増加
業務移譲に伴う経費や施設維持費が発生し、交付税での補填が十分でなく持ち出しが生じる懸念があります。
(2)専門人材確保の困難さ
保健所業務などに必要な医師や薬剤師、保健師といった専門職の確保が大きな壁となります。
(3)メリットの実感しにくさ
事業者向け許認可などが中心のため、一般市民が生活の便利さを直接体感しにくい面があります。
3,中核市へ移行するための財政的な課題
府中市が中核市に移行した場合の財政見通しは、同市が国からの普通交付税を受け取らない「地方交付税の不交付団体」であるため、一般的な自治体と比べて極めて厳しい負担増の懸念を抱えているのが特徴です。現在、府中市は将来の安定的な市民サービス提供に向けて中核市制度の調査研究を進めていますが、市議会等の議論や答弁から判明している具体的な財政見通しと構造的な課題が、指摘されています。
(1)歳出(コスト)の具体的な見通し
中核市へ移行すると、東京都から保健所の設置、児童福祉事務、都市計画開発許可など約2,000に及ぶ広範な事務が市に委譲されます。これにより、経常コストが発生すると試算されています。
①経常的な歳出増:約12億〜15億円
保健所や児童相談所の運営、それに伴う専門職(医師、保健師、児童福祉司など)や行政職員の新規採用・配置転換により、年間でこれだけの歳出増加が見込まれています。
②人員の増員:52人〜85人程度
業務増加に対応するため、これだけの職員増員が必要とされています。
4,「不交付団体」特有の深刻なジレンマ
通常、一般の自治体が中核市へ移行して事務負担が増える場合、その所要経費は国からの地方交付税(国の財源措置)によって国が一定の穴埋めをします。
しかし、府中市は強固な自主財源(東芝やサントリーなどの大企業による豊富な法人市民税や、ボートレース平和島の主催収益など)を持つ全国屈指の財政力(財政力指数1.26)を誇る不交付団体です。
(1)国からの補填がない
不交付団体であるため、新たに委譲される2,000もの事務経費に対して国からの財源移譲(地方交付税の増額)が期待できません。
(2)すべて自前の財源(一般財源)で賄う必要性
年間12億〜15億円規模の新たな負担を、すべて市の一般財源(自前の税金や貯金にあたる財政調整基金)だけで負担しなければならないという大きなデメリットを抱えています。
(3)将来的なリスクと財政の脆さ
府中市の豊かな財政は特定の「巨大企業(法人市民税)」や「公営競技」に依存する構造をしています。
①景気変動リスク: 法人市民税は景気に激しく左右されるため、中核市移行後に固定費(職員の人件費や保健所維持費など)が大きく膨らんだ状態で深刻な不況が直撃すると、一気に財政のバランスが崩れる脆さを秘めています。
②税制改正による吸い上げ: 近年国が進める「都市部から地方への税収再配分(地方法人税等の強化)」の動きにより、自前で稼いだ税収が国に吸い上げられるリスクも常に付きまとっています。
~府中市行政が今後、市民、住民のためにどういう理念、志であるかが試される中核市への移行問題であると考えるものです。次回は、現状、府中市が中核市への移行をどのように考え、手続きを踏んでいるかについてお伝えします。(府中市議 ゆうきりょう)
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