(府中市 民間委託 物件費)民間委託による懸念される点とは・・行政職員の能力と質の低下にならないために(府中市議会議員 ゆうきりょう)
府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
昨日(9月20日付)ブログで府中市財政の特徴の1つに、民間委託費(物件費)が多いことを指摘しました。 府中市はこの間とくに、2010年代に行財政改革推進プランを実行したこともあり、民間委託業務を増やした結果、類似の自治体と比較して「委託費(物件費)の比率が高い」という特徴があります。私の考えは、民間委託によっても①市民へのサービス向上、②働く人の賃金、労働条件の維持向上が図られることが条件にあれば、民間委託には賛成の意見です。ただ一方で懸念材料として、主に災害時の対応力低下、ランニングコストの高騰、現場のノウハウ喪失、地元中小業者の淘汰などの懸念があげられます。
1,大災害時の対応力の低下の懸念
①懸念点・・地震や水害などの大災害が発生した際、迅速かつ的確に対応できるかという点です。
②背景・・包括的民間委託が進むと、市内の詳細なインフラ状況を熟知した職員や直営の現場職員が減少します。すると災害などの有事の際に民間事業者や、現場を的確に指揮できる行政側のノウハウや人員が不足することが懸念されています。
2,ランニングコスト(委託費)の高騰
①懸念点:・・財政効率化を目的として導入したものの、長期的に見てコストが膨らむリスク可能性もあります。
②背景・・デジタル化(DX)にともなう基幹システムの標準化運用委託や、PFI手法を用いた大型複合施設(ルミエール府中、中央図書館など)の維持管理において、IT技術者の人件費高騰や物価高が直撃しています。結果として、高額なランニングコストを、その後も市が負担し続けなければならない点があります。
3,地元中小企業の淘汰とコスト高
①懸念点・・ 委託の規模(エリアや業務範囲)が大きくなりすぎると、地元の小規模な事業者が参入できなくなる懸念があります。
②背景・・ 業務が大型化、包括化されると、大手の市外企業、業者や一部の特定グループしか受注できなくなる傾向があります。その結果、市内業者が淘汰されて競争原理が働かなくなると、長期的には「コストがさらに高くなる」というリスクが膨らむこと。また地域の雇用・経済への悪影響が指摘されています。
4,職員の業務ノウハウの低下と喪失による、行政サービス低下の懸念
①懸念点・・行政側に専門知識が残らず、民間事業者のサービス品質に依存してしまう点です。
②背景・・窓口業務や福祉分野(子育て支援、訪問介護など)、道路等のインフラ管理を長期間委託し続けることで、市に実務経験の基づいた知見のある職員が減少、そのノウハウが蓄積されにくくなります。また事業者の撤退やトラブルが起きた際の「リカバリー(代替対応)」が困難になるリスクをはらんでいます。とくに市のプロジェクト、計画書の作成などを民間コンサル企業などに外注化が一般化することで、職員の政策立案能力も欠如していくことが懸念されます。
③適切な管理、ガバナンスをともなわなければ、行政職員の実務能力の低下、職員の質が低下していく危険性
自治体による民間委託は、適切な管理(ガバナンス)が行われない場合、高い確率でブラックボックス化する懸念があります。元来において民間委託は、「コスト削減」や「業務効率化」を目的に導入されるのですが、その行政実務、業務を丸投げにすることで、行政側が現場の実態を把握できなくなるというリスクがあります。
④業務の「丸投げ」により、職員のノウハウ喪失・・業務を完全に外部へ任せることで、自治体職員がその業務の「実務」を経験しなくなります。結果として、何にどれだけのコストや人員が必要なのかについて、行政職員自らが判断、監督する能力が失われ、事業者の言いなりになる傾向が懸念されています。
⑤現場の「属人化」と「形だけの入札」・・定期的に入札を行い事業者を変えても、現場のスタッフがそのまま新しい事業者に移籍して居座るケースがあるとも言われています。これにより業務がその特定の人間にしかわからない、いわゆる「属人化」が起き、外部からのチェックが機能しなくなります。
⑥特定IT企業への依存(ベンダーロックイン)・・システムの管理・運用などを民間委託する場合、高度な専門知識が必要なため、特定のIT企業に依存する傾向があります。総務省の調査によると、市区町村の多くが外部監査を受けておらず、コストの妥当性や情報漏洩リスクの検証すら不透明になっている実態も指摘されています。
⑦応対品質や成果の不透明さ・・窓口業務やBPO(業務プロセスの包括委託)において、事業者が「具体的に何件の対応を行い、どう処理したか」という進捗や課題が行政側に随時共有されない仕組みになると、住民サービスの質の低下を招きます。
★行政サービス、実務を「丸投げ」したままで終わらせないために
つまり「行政が民間委託した後、そのガバナンス(統治)の不足」の原因により、行政サービス機能が低下する恐れがあると言えるのではないでしょうか。民間委託による弊害と懸念について、「行政コストを下げて終わり」というものでなく、「委託した側の自治体に管理、監督責任が残る」という意識を、どれだけ多くの市職員が自覚できるかが重要な鍵となるでしょう。それでこそ委託業務の透明性が確保されることで、住民の信頼を得られる公共サービスになるはずです。引き続き、府中市行政の民間委託のメリット、デメリットについて、今後も検証していきたいと思います。(府中市議 ゆうきりょう)