(府中市 ふるさと納税)ふるさと納税制度は、府中市に多額の税流出による大幅な減収をもたらしている(府中市議会議員 ゆうきりょう)
府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
この第3回市議会定例会決算委員会においても、複数の議員の方から、ふるさと納税制度について質疑がありました。府中市におけるふるさと納税制度の主な問題点として、多額の住民税流出による大幅な減収(赤字)と、不交付団体ゆえに国からの財政補填が受けられない構造にあります。
1,深刻な税収の「流出超過(大幅な赤字)」
府中市民が市外の自治体にふるさと納税(寄附)をすることによる住民税の減収額が、府中市が全国から集める寄附額を大きく上回っているのが現状です。令和8年度(2026年度)の予測では、府中市が見込む寄附受入額が約4億3300万円であるのに対し、市民の市外への寄附に伴う市税の減収額は約17億2000万円に達しているほどです。
差し引きの赤字額としては、1年間で約12億8700万円の純減(流出超過)となる見込みで、貴重な地域財源が他自治体へ流出してしまっているわけです。
2,「不交付団体」ゆえに国の補填がない(全額自己負担)
通常、ふるさと納税で税収が減った自治体は、減少分の75%を国から「地方交付税」として穴埋め(補填)される仕組みがあります。しかしながら府中市の場合、大企業からの法人市民税など強固な自主財源を持つために、国から地方交付税を受け取らない「不交付団体」です。このため、ふるさと納税による減収分(約17億円)に対する国からの補填が一切なく、赤字がそのまま市の負担(純減)になってしまっているのです。
3,将来的な住民サービス低下や財政圧迫のリスク
現在府中市は、公共施設や小中学校校舎の更新ラッシュ(建て替え)の時期をむかえ、また新総合体育館や分倍河原駅再整備事業などを計画しており、今後は多額の市債(借金)発行や財政負担の急増が見込まれています。
こうした状況下で、ふるさと納税による毎年10数億円以上の税収減が続くと、将来的に市民の暮らしに直結する行政サービスやデジタル化、子育て支援などの予算を圧迫するリスクも指摘されています。
4,返礼品(地場産品)開拓の難しさ
府中市の場合、地方の自治体のように「カニや肉」といった強力な特産品(一次産品)が少ない都市部特有の弱点があります。それでも近年は、東京競馬場に関連した体験型返礼品や「PayPay商品券」、市内の事業者と連携した体験型コンテンツの拡充に乗り出しています。しかしながら、全国的な返礼品競争の中では埋没しやすく、寄附受入額の大幅な爆発には繋がりにくいという課題があります。
府中市議会などでは、制度そのものの理不尽さについて国に見直しを求めるべきという声が上がる一方、現状のルールが続く以上は「府中を選んでもらう」ために、鉄道事業者や文化・観光施設(郷土の森博物館など)を活かした独自の体験型返礼品の開発・充実を模索しているのが現状です。
5,東京の都市ならではの「コト消費・体験型」返礼品の拡充
東京都内の自治体(主に23区)でも、ふるさと納税による巨額の住民税流出という課題に直面しています。そこで近年では「防衛策」として寄付額を増やすための独自の取り組みを本格化させています。 地方のように農林水産物などの一次産品が少ない都市部ならではの強みを活かす対策を講じ、モノではなく、東京の観光資源や洗練されたサービスを体験できる返礼品を強化しているのが特徴です。
(1)高級体験・お座敷遊び: 渋谷区の高級ホテル宿泊券やフレンチ食事券、台東区の料亭での「お座敷遊び体験」など。
(2)マニアック・限定体験: 品川区の「フライトシミュレーター操縦体験」など、他にはない体験プランの提供。
(3)文化・エンタメ: 豊島区の「トキワ荘マンガミュージアム」の関連企画など、地域のカルチャーを前面に出した企画。
6,「現地決済型(ガストロノミー・応援納税)」の導入
東京に訪れる観光客やビジネスパーソンをターゲットに、その場で寄付してすぐに使える仕組みを作っています。 例として、スマートフォンなどを使い、滞在先の宿泊施設や飲食店でおよそ5分で寄付を完結させ、その場で使えるデジタルクーポン(「ふるさと応援納税®」など)を発行する自治体(品川区など)が増えています。
7,共感を呼ぶ「使い道」の明確化(ガバメントクラウドファンディング:GCF)
また返礼品競争ではなく、寄付金の「使い道」に共感してもらうことで寄付を集める自治体もあります。
(1)世田谷区: コロナ対策、子どもの遊び場整備、医療的ケア児の支援事業。
(2)文京区: ドイツの姉妹都市からの難民支援、子ども食堂の応援など。
(3)新宿区・中野区: 子育て先進区の実現や、地域の公益活動団体の支援など、具体的なプロジェクトに紐づけて発信しています。
8,デジタルマーケティング・露出の強化
ポータルサイトの活用や、独自の地域デジタル通貨との連携を進めている区もあります。中野区などでは、区の電子地域通貨(「ナカペイ」)をふるさと納税のスキームに加えるなどの実験的な試みや、寄付者の検索行動・購買心理を踏まえたポータルサイトの最適化(SEO対策)などを行っています。
こうした返礼品の充実策を講じる区もある一方で、東京都や特別区長会は依然として「本来居住地に納められるべき税金が流出している」として、国に対して制度の抜本的な見直しや是正を強く求め続けており、「自衛のための返礼品強化」と「制度批判」の両輪で動いているのが都内自治体の特徴です。 (府中市議 ゆうきりょう)
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