(府中市 民間委託)府中市財政は委託費(物件費)が高く、人件費が低い、その理由とは(府中市議会議員 ゆうきりょう)
府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
府中市の予算、決算の特徴の1つに類似団体と比較して、民間企業や団体などへの委託料を含む「物件費」の割合が多いこと、また人件費の比率が少ないことがあります。主な理由は、早い段階からの民間委託(アウトソーシング)の積極的な推進と、市が保有する公共施設の維持管理・運営コストがあると考えられます。
1,委託物件費(物件費・委託料)が多い背景とは
(1)積極的な民間委託(アウトソーシング)
府中市は行財政改革の一環として、市役所の業務を民間企業へ委託するアウトソーシングを早期から進めてきました。これにより、市の職員数や人件費の比率を他の類似自治体と比べて極めて低く抑えている反面、委託料が含まれる「物件費」の割合が高くなる構造になっている考えられます。
(2)充実した公共施設の維持管理・運営
府中市は「ルミエール府中」や「府中の森芸術劇場」をはじめとする、文化・スポーツ・福祉などの公共施設が大変充実していることでも知られています。これらの施設を適切に維持し、PFI事業や指定管理者制度を使って運営するための管理委託料が大きく発生しています。
(3)近年の物価高騰とDX(デジタル化)の影響
また近年のエネルギー価格・物価高騰に伴う公共施設の管理運営費の上昇に加え、国が求める自治体システムの標準化に伴うシステム利用料(ガバメントクラウド利用料など)や、IT技術者の人件費上昇も「物件費・委託料」を押し上げる要因となっているとも考えられます。
①物件費(令和7年度決算から)・・27,033,248円、構成比で20%、これは類似団体と比較すると、かなり上位になります。
②人件費(令和7年度決算から)・・15,174,089円、構成比で11.2%、これは類似団体36団体中、低いなかでのベスト3くらいに入ると思われます。
※類似団体とは・・地方財政、行政運営の分析において、人口規模、産業構造が似ている市町村をグループで分けたとき、同じグループ(累計)に分類されている自治体のこと。総務省や各都道府県が、全国の自治体の財政状況や職員数などを公平に比較・分析するための「共通の尺度」として設定しています。
2, 財政面から見たメリット
この「人件費が低く、物件費(委託物件費)が高い」という特徴は、市の財政の健全性を、決して損ねているわけではありません。一度雇用すると削減が難しい市職員の人件費(固定費)に比べて、民間委託(物件費)は社会経済情勢にあわせて、予算をコントロールしやすいというメリットがあります。そのため、府中市は経常収支比率が低く、財政の弾力性(臨機応変にお金を使える余裕)が全国の自治体でもトップクラスに優秀な、極めて優位な財政力を維持していることにもつながっているとも考えられます。
~府中市の場合、主に以下の公共施設や事業に対して多額の委託費(委託料・運営費)が投じられています。
(1)PFI手法を用いた大型複合施設(運営・修繕)
バブル期前後に建てられた大型施設の老朽化に伴い、民間資金やノウハウを活用するPFIや民間包括委託が積極的に導入されています。
①市民会館複合施設(ルミエール府中) / 中央図書館
PFI事業の1つにルミエール府中と中央図書館があります。この施設の第二期PFI事業が進行中であり、毎年の運営モニタリングや大規模な計画修繕のために多額の委託費(サービス購入料)が支払われています。
(2)インフラ・環境系の包括管理事業(維持管理)
個別に委託するのではなく、地域や業種をまとめて民間業者に一括委託する「包括的民間委託」への移行が進んでいて、これも委託費の大きな割合を占めています。
※包括民間委託とは・・自治体などが公共施設の管理やインフラの維持管理といった複数の業務・施設をバラバラに発注せず、まとめて一つの民間事業者に一括して委託する手法のことです。 人口減少による税収減少や、公共施設の老朽化、技術職員の不足といった課題に対応するため、自治体の業務効率化とコスト削減の切り札として全国的に導入が広がっています。 府中市の場合、代表的なものに「道路包括委託事業」があります。
①道路等包括管理事業(市内市道全線)
市内の道路、橋梁、ペデストリアンデッキ、街路樹、カーブミラーなどの清掃、軽微な補修、区域内巡回、剪定を一括して民間委託しています(北西地区だけでも単年度で約1億円規模)。
③市営住宅、市営公園など長寿命化・修繕包括業務
市営住宅や市営公園の効率的な維持管理・修繕体制を整えるための策定業務などが民間委託されています。
(3)デジタル化・基幹システム標準化(情報システム)
近年、自治体全体のトレンドとして委託費が急増しているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)や情報システム関連の運用費です。
(4)国が求める標準準拠システムへの移行・ガバメントクラウド運用
基幹システムの標準化移行に伴い、移行後もIT技術者の人件費高騰やシステム利用料といった高額なランニングコスト(運用委託費)が発生しています。
(5)保健福祉・民生費関連の専門業務(市民サービス)
少子高齢化や複雑化する市民ニーズへの対応のため、福祉分野でも窓口や実務の民間委託が行われています。
(6)子育て世代包括支援・要保護児童等見守り強化事業
ヤングケアラーの実態調査やヘルパー派遣、対象世帯への定期訪問といった伴走型支援業務を専門機関に委託しています。
(7)高齢者・障害者福祉サービスの訪問業務
在宅福祉サービス(寝たきり高齢者への訪問理美容事業など)の事業者への委託料が計上されています。
~私は民間委託に反対ではなく、むしろ積極派かもしれません。ただ一方で懸念材料もあります。これについては、次回のブログでまた掲載させていただきたいと思います。(ゆうきりょう)
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