(府中市財政、市債・資産基金)財政力を誇る府中市と武蔵野市、資産、基金の運用がどう違うのか(府中市議会議員 ゆうきりょう)
府中市議会議員(国民民主党所属)の ゆうきりょう です。
日銀はこの9月18日の金融政策決定会合において、それまでの1.0%程度から0.25%の追加利上げを行うことを決めました。これは1995年以来、約31年ぶりの高水準となっています。この金利が上がっていく金融情勢において、自治体にとってはその資産、基金の運用方針策についても、新たな局面をむかえることになります。
★多摩地域で財政力を誇る府中市と武蔵野市の資産運用の違いはなにか
そこで比較する対象として、注目するのは府中市と武蔵野市の違いです。どちらも多摩地域を代表する非常に財政力の高い優良自治体です。一方で両市は、市債(借金)の向き合いかたや資産運用(貯金、基金の運用)の方針で、その置かれた環境や近年の金利上昇局面(マイナス金利解除など)を反映した興味深い、違いがあることが分かりました。
府中市は資産の安定運用策を継続していますが、武蔵野市の場合、金利のある状況を機敏にとらえて、資産運用方法について変化が見られます。そこで両市の市債・資産運用方針の主な違いを、少し比較して整理しました。
1,府中市と武蔵野市の比較概要
(1)財政の基本性格の違い
(府中市)・・東芝などの大企業、東京競馬場等の収益、バランスの取れた市税。
(武蔵野市)・・全国屈指の商業地(吉祥寺)と高所得者層の居住による極めて高い住民税収入。
(2)市債(借入金額)の方針
(府中市)計画的かつ段階的な活用。大規模事業にあわせて適債性や低利での借入を重視。
(武蔵野市)原則「市債に頼らない」超健全経営。ただし近年は学校改築事業などのため、一部発行が増加傾向にある。
(3)資産運用(基金)の基本姿勢
(府中市)安全性を前提としつつ、SDGsや環境・社会貢献への投資表明(グリーンボンド等)に積極的。
(武蔵野市)預金中心から「一括運用」と「債券比率の増加」へ舵を切り、利回り拡大を急ぐ(利回り重視へシフト)。
※武蔵野市の資産の「一括運用」とは
武蔵野市における「基金の一括管理(一括運用)」とは、これまで個々の目的ごとに分けて運用されていた複数の基金(積立金)を総額でまとめ、金融商品(預金や債券など)と一括で対応させて一体的に運用する仕組みのことです。従来の個別管理から脱却し、令和7年(2025年)3月28日の運用更新から導入されました。
★導入された背景と目的
①金利上昇局面への対応
武蔵野市ではこれまで「安全性」と「流動性」を最重視し、預金を中心とした運用を行ってきました。しかし、マイナス金利政策の解除に伴う金利上昇局面を受け、安全性を保ちながらも「効率性(収益性)」を高めて市民の財産を増やす方針へ舵を切りました。また基金ごとに別々の金融商品を購入・管理していた手間を無くし、総額でまとめて運用することで、自治体側の管理事務を大幅に効率化(DX・省力化)しています。
(4)金利変動へのアプローチ
(府中市)財政見通しの中で公債費(返済額)の比率を厳格に管理。
(武蔵野市)「資金管理アドバイザー」を外部公募するなど、市場金利上昇への専門的対応を強化。
2,市債(借金)に関する方針の違い
(1)府中市の特徴・・大規模プロジェクトと連動した「計画的コントロール」
府中市は、これまでも「実質公債費比率10%以下(実際はそれを大きく下回る水準)」などの明確な目標で、市債の増加を管理しています。2010年代に行われた、府中駅南口再開発事業、学校給食センターの新築、新市庁舎建設工事など、大規模な都市インフラ整備のタイミングにあわせて、低利での市債を計画的に組み合わせて調達する手法策が特徴です。これにより将来世代へ過度な負担が偏らないよう平準化することを重視しています。
※実質公債比率とは・・地方自治体の財政健全度を測る指標の1つ。自治体の財政規模に対して、毎年の借金(公債費)の返済負担がどれくらいあるかを示した割合のこと。この比率が低いほど財政が健全であり、高いほど借金の返済に追われて財政が苦しい状態であることを意味します。
(2)武蔵野市・・基本は「市債依存度を極小化」も、有事の建設費高騰に直面
武蔵野市は、全国トップクラスの財政力指数(不交付団体)を誇り、かつては「市債をほとんど起こさない(借金をしない)」ことで有名でした。しかし、近年の歴史的な資材・建設費の高騰、および小中学校の建て替えラッシュが重なり、学校の改築改修のための市債発行、基金の取り崩しが増加傾向という局面をむかえています。将来世代間の負担平準化を考慮しつつも、市庁舎の改修延命化を行うなど、投資的経費をいかに抑制するかに注力しています。
3,資産運用方針(基金、現金の運用)の違い
(1)府中市・・安全性+「SDGs・環境貢献(ESG投資)」の重視
府中市の資産運用で特徴的なのは、長期運用が可能な資金(基金)の一部を活用したSDGs債券(グリーンボンド等)への積極的な投資表明です。府中市の総合計画で掲げる「ゼロカーボンシティ」の実現に向け、資金運用を通じて二酸化炭素削減などの社会的インパクトに貢献することを方針に明記しており、「安全性・流動性の確保 + 社会・環境的意義の調達」というバランス型の方針をとっています。
※SDGs(グリーンボンド等)債権とは・・
(2)武蔵野市・・「一括運用への刷新」と「利回り(効率性)の徹底追求」
武蔵野市はもともと資金管理方針に基づき、元本割れを防ぐため「預金による運用」を極めて重視してきました。しかし、マイナス金利解除後の金利上昇局面を受け、運用の効率性(収益性)を大きく高める方針へシフトしています。
具体的には、これまでの個別運用から「一括運用」へと切り替えて事務負担を減らし、安全性の高い格付を持った債券(国債・地方債等)の保有比率を大幅に増加させています(これにより利子収入を大きく拡大させています)。さらに、民間から「資金管理アドバイザー」を登用し、市場を意識した高度な運用体制を敷いています。
~私はこの武蔵野市の資産運用方針について、もう少し調べてみたいと思います。長く30年続いたゼロ金利の時代から、金利がある情勢をむかえた今日、それにふさわしい資産運用方針もあるのではないでしょうか。この点については、一度、時間をとって議会でも質疑したいと考えています。(府中市議 ゆうきりょう)
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