18 2月

老後破産・・長寿という悪夢(NHKスペシャル取材班、新潮文庫)

先日、新潮文庫から出版された「老後破産、長寿という悪夢」を、一気に読みました。これは以前、NHKがスペシャル番組として放映した内容をもとに、文庫本にしたものです。この本の感想を一言にすると、誰しもが貧困の生活と人生に簡単に転落してしまうということです。そして日本にはもはや「社会保障」という制度は存在しなくてなってしまったということです。病気をすれば高額な医療費がかかり、親の介護では生活が成り立たなくなり、年金ではもはや暮らしていけない老後の人生が待ち構えているという、冷酷な事実です。それはこの著作でも言うところの「老後破産」との言葉が当てはまります。私は昨日のブログで政府も高齢者雇用対策を本格化すると書きましたが、政府も国民に対して満足な生活を保障する年金を支給する考えはなく、言葉は言い過ぎですが私たち国民を「死ぬまで働かせる」、そんな気がしないでもありません。

私は、1月13日付ブログで「高齢者の独居率が2040年推計で男性20%、女性が24%にのぼる」と書きましたが、今後の日本社会は老後破産と生活保護利用者がますます増える社会になるということを思わざるえません。これでは国家は衰退するばかりではないでしょうか。安倍政権は国民を「分断と対立」に持ち込みますが、今こそ私たち共産党は国民各層との「連帯と団結」でこれからの時代にたちむかわなくてはならないと思います。

05 9月

「若年性認知症 中野区が独自調査」(毎日新聞)

今朝(5日)は府中駅北口であいさつ、終日市議会本会議。さて今朝の毎日新聞朝刊多摩版には、中野区が65歳未満で発症する若年性認知症の実情を把握するため、市区町村レベルで初の独自調査を行うとの記事があります。

記事によると、調査期間は来年2月まで、1次調査として区内の医療機関や介護施設など約300ヶ所を対象に、郵送で若年性認知症の人に対応した事例の有無を聞くとあります。記事では「若年性認知症は働き盛りで子育ての世代の人が発症することもある。仕事の内容を忘れてしまうなど休職や退職を余儀なくされ、経済的に深刻な影響が出ることも多い」「症状は65歳以上の高齢者と同様だが、体力があるため、高齢者向けのデイサービスに適さないケースも多い。一方で当事者が少ないことから、若年性認知症に特化したサポートに取り組む施設は限られている」とあります。

全国の自治体に先駆けて行う中野区の若年性認知症調査に、注目が集まります。府中の高齢者の運動においても、対行政に対して認知症対策の拡充を求めていることもあり、一度議会でも取り上げたいと思いますが、若年性認知症の問題についても興味があります。一度、中野区の調査についても、話を伺いたいと思います。

23 8月

「就労事業所で障害者大量解雇・・廃業急増、補助金頼みの業者も」(東京新聞1面)

今朝(23日)は京王線東府中駅北口であいさつ、終日質問準備、生活相談など。さて今朝の東京新聞1面と2面には、障害者の方が働きながら、技術や知識を身に着ける就労事業所で経営悪化を理由に大量解雇、廃業が急増し、厚労省が実態調査委に乗り出すとの記事があります。記事では「就労事業所をめぐっては受け入れる障害者の人数に応じて補助金を受け入れるため、事業の収益を確保できなくても参入できる構造がある。国はこうした状況を是正するため、4月に補助金の支給要件を厳しくしており、大量解雇に影響を与えた可能性がある」とし、この7月から8月末にかけていくつかの自治体で障害者を雇用する事業所が大量解雇、廃業するとのことです。

記事では「問題となっているのは、就労継続支援A型事業所で、障害者と雇用契約を結び、都道府県ごとに定める最低賃金以上を支払った上で、軽作業などの職業訓練をする」とあり、このA型の事業所が困難になっているとのこと。「2015年度には廃業したのが141事業所で前年から倍増、公金頼みの事業所が少なくないとみられるため、厚労省は今年4月の省令改正で給付金から障害者の賃金を支払うことを禁じた」とあります。こうした事態をうけ「厚生労働省は各自治体を通じ、経営改善が必要な事業所の実態調査を進めるとともに、障害者が解雇された場合は、別の事業所へ引き継ぎを徹底するよう通知をだした」とあります。

府中市内にも就労継続支援A型事業所があるとのことです。この記事をうけて事業所の経営実態はどうなのか、現場の声を聞き調査したいと思います。

19 8月

「軽度介護 自治体45%『苦慮』・・住民ら担い手確保課題」(東京新聞)

今朝(19日)の東京新聞総合面には、今年4月より介護保険から切り離され、市区町村に事業が移行した軽度の要介護向けサービスに関する共同通信の調査が記事にあります。

記事では「回答した1575自治体の45%が運営に苦慮していることがわかった。ボランティアら担い手を確保できていないことが主な理由で、地域住民が支えあう仕組みづくりの難しさが浮かび上がった」とあります。とくに注目されるのは「7段階ある要介護度のうち、軽い『要支援1、2』の人向け訪問介護と通所介護(デイサービス)は保険給付からはずれ、2015年度以降は『総合事業』として市区町村が提供するようになった。中重度者向けサービスに重点を置きたい政府は『要介護1、2』についても移行を検討しているが、これには60%超が反対」としています。「『新たな担い手の確保が難しい』を挙げた自治体が49・5%と最も多かった。『運営のノウハウがない』は20・7%、『移行させたことに無理がある』が12.6%と続いた」とあります。

また自治体当局の声として「担当者からは『地域によっては住民の7割が65歳以上で、担い手確保が困難』(群馬県吾妻町)、『これまで専門職がしてきた支援を住民に任せることに戸惑いがある』(京都府宇治市)などの声が聞こえた」と切実な訴えがコメントされています。

介護保険制度は元来、国による社会保障制度であり、そのために私たち国民は介護保険料を納付しているわけです。それを実際の運用において、その一部を住民の「ボランティア」活動に委ねることに相当無理があることは、各方面から指摘されてきました。府中市においても新制度のもとで、介護現場の実態について、事業者や利用者の声を集約し、今後議会でも取り上げていきたいと思います。

14 7月

「サービス付き高齢者向け住宅、制度開始5年で廃業125ヶ所」(読売新聞)

今朝(14日)はJR北府中駅であいさつ。さて先日の読売新聞には全国のサービス付高齢者住宅(サ高住)が倒産、廃業が増えいているという記事がありました。記事には「(サ高住の廃止、倒産件数が)2011~15年度の5年間で計125か所に上ったと、国土交通省が今年初めて実施した調査で判明した。廃業数は増加傾向で、同省は『ある程度の 淘汰は仕方がないが、入居者保護のあり方も含め、対策を検討したい』としている。調査は、制度開始から5年以上が経過した今年2月、同省が都道府県などに実施。入居者が思うように集まらないなどとして、高齢者が入居する前に廃業した施設が64か所、入居後の廃業は61か所だった。年々増加傾向で15年度は最多の45か所に上った」。

また記事では、「サ高住は、高齢者住まい法に基づき、比較的健康な高齢者向けの住まいとして11年度に制度化された。制度上は賃貸住宅のため、自治体が事業計画などを事前にチェックする介護施設と比べ規制が緩く、行政への登録手続きだけで開設できる。ただ、要介護者の受け皿不足などから、入居者の約9割が要介護、約4割が認知症の人で、実態は介護施設だ。淑徳大の結城康博教授(社会保障論)は『5年で125か所の廃業は深刻だ。認知症の人は、環境の変化が症状の悪化につながる恐れがある。自宅を処分して入居する人もおり、行き場を失う介護難民になりかねない。自治体の許可制にするなど、規制を強化すべきだ』と話している」としています。

私も以前、一般質問で高齢者の住まいの在り方について質疑を行い、「サ高住」は利用料金が比較的高いこともあり、一般的な高齢者入居施設としては、適していないことを主張したことがあります。政府の方針によるところが大きいのですが、安価で入居できる高齢者専用住宅、特別養護老人ホームの建設こそが、急がれていると要望しました。

「住まいは人権」という観点からしても、また増えている孤独死、孤立死を防ぐという視点からも、この問題、現場の実態もぜひ調べたいと思います。